まとめ
解説
蒸発は、物質が液体から気体へと状態変化する現象の一つです。液体の表面だけで起こり、沸点以下のどのような温度でも常に発生している点が最大の特徴です。これに対し、沸騰は液体の内部からも気化が起こり、特定の温度(沸点)に達する必要があります。
化学実験においては、水溶液から溶質を取り出す「蒸発乾固」として利用されます。例えば、塩酸と炭酸カルシウムを反応させた後の液を蒸発させると、反応によって生じた物質が固体として残ります。この際、溶媒がなくなっても溶けていた物質の質量は維持されるという「質量保存の法則」が成り立ちます。また、ホウ酸と食塩の混合物のように、温度による溶解度の差を利用して物質を分ける際にも、蒸発や冷却による析出の原理が応用されます。
| 比較項目 | 蒸発 | 沸騰 |
|---|---|---|
| 発生場所 | 液体の表面のみ | 液体全体(内部含む) |
| 温度条件 | 沸点以下でも常に起こる | 沸点に達した時のみ |
| 現象の様子 | 静かに進行する | 気泡が発生し激しい |
蒸発が起こるとき、液体は周囲から熱を奪います。これを「気化熱」と呼びます。打ち水をして涼しく感じたり、お風呂上がりに体が冷えたりするのはこのためです。この原理は「乾湿計」にも応用されており、湿球の水分が蒸発することで温度が下がる性質を利用して湿度を測定します。例えば、乾球が26℃、湿球が23℃のとき、その差が3.0℃であることを利用して、湿度表から湿度76%を導き出します。
また、自然界では中東の「死海」が有名な例です。強い日差しによって湖水の蒸発が激しく進むため、塩分濃度が非常に高くなっています。その結果、液体の密度が大きくなり、人間が何もしなくても浮くほどの強い浮力が発生します。なお、冬の寒い地域で水道水を流し続けるのは、水道管内の水が凍って体積が増え、管が破裂するのを防ぐためですが、これも水の状態変化と密接に関係しています。
コップに水を入れて置いておくと、いつのまにか水がへっていることがありますね。これは、水の表面から水が少しずつ空気の中へにげ出しているからです。この現象を「蒸発」といいます。
蒸発は、お湯がわく「沸騰」とはちがいます。わかさなくても、冷たい水でも少しずつ蒸発は起きています。また、蒸発するときにはまわりの熱をうばう性質があります。暑い日に地面に水をまく「打ち水」をするとすずしくなるのは、水が蒸発するときに地面の熱をいっしょに持っていってくれるからです。
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