- 夏緑樹林
- 冷温帯に分布し、ブナやミズナラなどの落葉広葉樹が優占する、季節によって葉を落とす森林バイオーム
解説
夏緑樹林は、年平均気温が概ね6℃から13℃の冷温帯地域に形成されるバイオームです。この地域の最大の特徴は、四季の変化がはっきりしていることです。夏季にはブナやミズナラ、カエデといった広葉樹が大きな葉を広げ、太陽の光を効率よく吸収して成長します。
しかし、冬季になると気温が下がり、水分も凍結しやすくなるため、樹木はすべての葉を落として休眠状態に入ります。これは、葉からの蒸散を防ぎ、厳しい寒さと乾燥から身を守るための適応戦略です。このように、夏に緑が深く、冬に落葉する性質から「夏緑」樹林と呼ばれます。
コラム
夏緑樹林の林床では、春先に特徴的な現象が見られます。高木が葉を広げて日光を遮る前の短い期間に、カタクリやイチリンソウなどの植物が一斉に芽吹き、花を咲かせます。これらは「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」と呼ばれ、夏緑樹林ならではの光景です。
日本では本州の中部以北から北海道南部にかけて広く分布しており、白神山地のブナ原生林などは世界遺産にも登録されている貴重な夏緑樹林の代表例です。