まとめ
【定義】
植物における体温調節とは、主に蒸散作用に伴う気化熱の放出によって、植物体の温度上昇を抑制し、生理機能を維持する仕組みである。
学習の要点
- 重要語句:蒸散、気孔、気化熱、根からの吸水、環境適応
- 用語の意義:強光下や高温下での細胞の熱損傷を防ぐとともに、水蒸気を放出することで根からの水・養分の吸い上げを促進する駆動力を生み出す。
解説
植物は、日差しが強まり気温が上昇すると、葉の裏などに多く存在する気孔を開いて蒸散を促進する。この際、水が水蒸気へと変化する時に周囲の熱を奪う「気化熱」の原理により、植物体の温度が下がる。これが植物における主要な体温調節のメカニズムである。
蒸散量は気象条件に大きく左右される。日差し、気温、湿度、風などが主な要因であり、一日のうちでは日差しが最大となる12時頃に続いて、13時頃に蒸散量のピークが訪れるのが一般的である。なお、気温のピークはそれよりも遅い14時過ぎになることが多い。
蒸散は体温調節だけでなく、根からの吸水を活発にする役割も持つ。葉から水が失われることで生じる負圧が、導管を通じて根から水や無機養分を吸い上げるポンプのような役割を果たすからである。
また、環境に対する高度な適応戦略も見られる。例えば、冬の低温期に落葉する樹木は、過剰な水分の蒸散を防ぐ。乾燥地に生息するサボテンなどは、水分喪失を最小限に抑えるために、一般的な植物とは異なる気孔の開閉制御を行い、過酷な環境下で生存を可能にしている。
補足
蒸散は湿度が高いときや風がないときは抑制されるため、熱帯雨林や無風状態では体温調節の効率が低下する場合がある。また、サボテンのような多肉植物はCAM型光合成を行い、夜間に気孔を開いて二酸化炭素を取り込むことで、昼間の水分消失を徹底的に防いでいる。
参照: 学習指導要領準拠資料
小学生のみなさんへ
植物は、太陽の光を浴びて温度が上がりすぎると、自分自身の体を守るために「体温調節」を行います。その中心となるのが「蒸散(じょうさん)」という働きです。
植物は、葉にある小さな穴(気孔)から水蒸気を逃がします。このとき、まわりの熱を奪っていくため、植物の体の温度が下がるのです。これは、人間が汗をかいて涼しくなるのと同じ仕組みです。
日差しが強くて気温が高い日ほど、蒸散はさかんになります。一日のなかでは、お昼の1時ごろに蒸散の量がもっとも多くなります。蒸散が行われると、体の水分が減るため、根っこから水を吸い上げる力も強くなります。
砂漠(さばく)に生えているサボテンなどは、水が少ない場所で生きるために、普通の植物とは違う特別な工夫をしています。また、冬に葉を落とす木も、水分を逃がさないように工夫しているといえます。
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