まとめ
- 胎児期において、肺動脈と大動脈を接続し、肺を迂回して血液を全身に送り出すための短絡路(シャント)となる血管。
- 胎盤を通じてガス交換を行う胎児特有の循環経路であり、出生後の肺呼吸開始に伴って自然に閉鎖する。
解説
胎児の体内では、ガス交換は肺ではなく胎盤で行われます。そのため、右心室から肺動脈へ送られた血液の大部分は、まだ機能していない肺へ向かわず、動脈管を経由して大動脈へと直接流入する仕組みになっています。これにより、酸素を多く含んだ血液を効率よく全身へ循環させることができます。
出生直後に肺呼吸が始まると、血液中の酸素分圧が上昇し、それまで血管を広げていたプロスタグランジンという物質の濃度が低下します。これにより動脈管の壁にある平滑筋が収縮し、管が閉鎖します。通常、機能的な閉鎖は生後10〜15時間、物理的な閉鎖は生後2〜3週間で完了し、最終的には「動脈管索」という組織に変化します。
この閉鎖が正常に行われず、出生後も管が開いたままの状態を「動脈管開存症(PDA)」と呼びます。この状態では、大動脈から肺動脈へ血液が逆流してしまい、心臓や肺に過度な負担がかかるため、治療が必要になることがあります。
また、胎児循環には動脈管のほかに、右心房から左心房へ直接血液を流す「卵円孔(らんえんこう)」という穴も存在し、これら複数のバイパスによって胎児の生命維持が図られています。
おなかのなかにいる赤ちゃんは、自分ではなから息を吸うことができません。そのかわりに、お母さんの「胎盤」という場所から、へそのおを通してもらった酸素を体中に運んでいます。
このとき、赤ちゃんには大人にはない特別な血管の通り道があります。それが「動脈管」です。赤ちゃんはまだ肺を使っていないので、肺に血液を送るかわりに、この動脈管という近道を通って、酸素たっぷりの血液を全身に送っているのです。
赤ちゃんが生まれて、外の世界で「オギャー」と泣いて肺で呼吸を始めると、この近道はもう必要なくなります。すると、動脈管は自然にギュッと縮まって閉じてしまいます。体の仕組みって、本当によくできていますね。
心臓には「卵円孔」という、もう一つの近道もあります。これも動脈管と同じで、生まれるとすぐに閉じてしまいます。赤ちゃんの体は、生まれる瞬間に劇的な変化を遂げているのです。
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