卵円孔(らんえんこう)

一般小学生

まとめ

  • 胎児心臓において、右心房左心房を隔てる壁(心房中隔)にある開口部のこと。
  • 胎盤から供給された酸素を多く含む血液を、肺を通さずに左心房へ直接送り出すバイパスの役割を担う。
  • 出生後の肺呼吸開始に伴う圧力変化によって自然に閉鎖し、成人では「卵円窩」という痕跡になる。
循環器系胎児循環心臓の構造発生バイパス

解説

胎児は母体内の羊水の中にいるため、自らの肺を使って呼吸をすることができません。そのため、酸素の供給はすべて胎盤に依存しています。胎盤から「へそのお(臍静脈)」を通って運ばれてきた酸素濃度の高い血液は、右心房に入りますが、その大部分は肺へ向かわず、この「卵円孔」を通って直接左心房へと流れ込みます。

左心房に流れ込んだ血液は、左心室を経て大動脈へと送り出され、脳や全身の組織に酸素を届けます。このように、まだ機能していない肺をショートカットして効率よく血液を循環させる仕組みを「胎児循環」と呼び、卵円孔はその中心的な役割を担っています。胎盤で得た酸素を効率よく全身に送るための、胎児期特有の合理的なシステムといえます。

コラム

赤ちゃんが生まれて産声を上げ、肺呼吸が開始されると、肺の血管抵抗が劇的に下がって左心房の圧力が右心房よりも高くなります。この圧力差によって卵円孔にある弁が押し付けられ、物理的に穴が塞がります。

通常は数ヶ月から1年ほどで完全に癒着しますが、成人になっても完全に閉じきらずに小さな隙間が残るケースもあり、これは「卵円孔開存」と呼ばれます。また、心臓内には卵円孔のほかにも、肺動脈と大動脈をつなぐ「動脈管(ボタロー管)」というバイパスが存在し、これらが出生と同時に閉じることで、大人の循環システムへと切り替わります。

小学生のみなさんへ

おなかのなかにいる赤ちゃんは、まだ自分で息を吸うことができません。そのかわりに、お母さんの「へそのお」から酸素をもらっています。

赤ちゃんの心臓には、大人にはない「卵円孔らんえんこう」という特別な穴が開いています。この穴は、酸素をたっぷり含んだ血液を、まだ使っていない肺を通さずに、すぐ全身に送るための「近道」の役割をしています。

赤ちゃんが生まれて、自分の力で「オギャー」と息を始めると、この穴は自然に閉じてしまいます。体の中の仕組みが、外の世界で生きていくために一瞬で切り替わるのは、とても不思議で、すごいことですね。

ルラスタコラム

心臓には卵円孔のほかにも「動脈管(ボタロー管)」という、もう一つの近道があります。これらのおかげで、赤ちゃんはおなかのなかで元気に育つことができるのです。

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