まとめ
【定義】
根から吸収された水が水蒸気となり、主に葉にある気孔を通じて植物体の外へ放出される働きのこと。
学習の要点
- 重要語句:気孔、道管、根毛、浸透、光補償点、光飽和点
- 用語の意義:蒸散は根からの吸水を促進する原動力となり、体温調節や無機養分の運搬において重要な役割を果たす。
解説
植物の体内における水の移動は、根毛からの吸水に始まる。土壌中の水は、濃度差による浸透圧によって根毛から取り込まれ、表皮細胞を経由して中心部の道管へと運ばれる。この過程は細胞同士が水を送るバケツリレーのような仕組みで行われ、道管を通って茎から葉へと上昇していく。
葉に到達した水は、光合成の原料として利用されるほか、大部分が気孔から水蒸気として放出(蒸散)される。蒸散が行われることで植物体内の水分が減少し、それが呼び水となって根からの吸水がさらに促進される。また、蒸散に伴う気化熱の放出は、強い日差しの中でも植物の体温上昇を抑える効果がある。
光の強さと植物の活動には密接な関係がある。光が強くなるほど光合成量は増加するが、一定の強さに達するとそれ以上は増えなくなる(光飽和点)。一方で、植物は常に呼吸を行っており、光合成によって吸収される二酸化炭素量と、呼吸によって放出される二酸化炭素量が等しくなる点を「光補償点」と呼ぶ。
光合成の実態を把握する際には、以下の計算式が重要となる。
光合成量 = 見かけの光合成量 + 呼吸量
これは、実際に合成された有機物の総量が、外部から観察できる二酸化炭素の吸収量に、自らの生命維持で消費した分を加えたものであることを示している。
補足
蒸散の大部分は葉の裏側に多く分布する「気孔」で行われる。気孔は一対の孔辺細胞によって開閉が制御されており、光の強さ、湿度、二酸化炭素濃度などの環境要因に反応して、蒸散量とガス交換のバランスを最適化している。
参照: 学習指導要領準拠資料
小学生のみなさんへ
植物が根から吸い上げた水が、葉にある小さな穴(気孔)から、目に見えない「水蒸気」になって空気中に出ていくことを「蒸散(じょうさん)」といいます。
水はまず、根の先にある「根毛(こんもう)」から吸い込まれます。吸い込まれた水や肥料は、茎の中にある「道管(どうかん)」という細い管を通って、まるでバケツリレーのように上へと運ばれ、葉まで届けられます。
植物は、太陽の光を浴びて「光合成(こうごうせい)」を行い、生きていくための栄養を作ります。このとき、光が強ければ強いほど光合成はさかんになりますが、植物は人間と同じように「呼吸」もしています。
光合成で吸い込む二酸化炭素の量と、呼吸ではき出す二酸化炭素の量がちょうど同じになる光の強さを「補償点(ほしょうてん)」といいます。蒸散は、植物の体温が上がりすぎるのを防いだり、根から新しい水を吸い上げたりするために、とても大切な働きなのです。
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