まとめ
- 生命が誕生する前の原始の海において、有機物などの多様な化学物質が蓄積した状態を指す比喩的表現。
- 無機物から有機物が合成され、生命へと至る「化学進化」のプロセスを象徴する概念。
- ソ連の生化学者アレクサンドル・オパーリンが、その著書『生命の起源』の中で提唱した。
解説
原始地球の大気は、メタン、アンモニア、水蒸気、水素などの還元的なガスで構成されていたと考えられています。これらの成分に、雷の放電、太陽からの強い紫外線、あるいは火山の熱といった膨大なエネルギーが加わることで、アミノ酸や糖、核酸塩基といった単純な有機物が生成されました。
生成された有機物は雨とともに原始の海へと流れ込み、長い年月をかけて蓄積されていきました。これにより、当時の海洋は「濃いスープ」のような状態になったと例えられます。このスープの中で有機物同士がさらに複雑な反応を繰り返し、タンパク質や核酸といった高分子化合物へと進化し、最終的に自己複製能力を持つ最初の生命体へとつながったとするのが「化学進化説」の核心です。
今から約40億年も前の地球の海は、今の海とはまったくちがう姿をしていました。空にあったガスが、カミナリや太陽の強い光のエネルギーによって、生き物の体をつくる「もと」になる物質に変わりました。
それらの物質が雨といっしょに海に流れこみ、長い時間をかけてたくさんたまった状態のことを「物質のスープ」とよびます。まるで栄養たっぷりのスープのように、いろいろな材料がまざり合っていたからです。
このスープの中で、物質どうしがくっついたり変化したりすることをくり返すうちに、地球で最初の生命が誕生したと考えられています。わたしたち人間や、まわりにいるすべての生き物のルーツは、この不思議なスープにあるのかもしれません。
「物質のスープ」という言葉は、ソ連の科学者が考えた比喩(たとえ話)です。本当においしいスープだったわけではなく、ドロドロとした不思議な液体だったと想像されています。このスープからどうやって命が生まれたのかは、今でも科学者たちが一生懸命研究している大きなナゾの一つです。
記事の内容に誤りがありますか?
⚠️ 修正を提案する