解説
鉄鉱石は、現代社会のあらゆるインフラを支える鉄鋼生産に不可欠な資源です。日本は資源の乏しい国であるため、高度経済成長期から一貫して、海外から鉄鉱石を輸入し、国内の製鉄所で鋼鉄へと加工して自動車や機械として輸出する「加工貿易」によって経済を発展させてきました。特にオーストラリアは日本にとって最大の輸入先であり、石炭や液化天然ガス(LNG)と並んで、日本の産業構造を支える極めて重要なパートナーとなっています。
1980年代以降、円高や貿易摩擦を背景に企業の「海外生産(現地生産)」が進み、製品そのものを輸入する「製品輸入」の割合が増加しました。しかし、依然として国内の製造業を維持するためには、鉄鉱石の安定的な確保が重要です。そのため、特定の国への過度な依存を避けるための輸入先の分散や、世界情勢による価格変動リスクへの対策が常に求められています。
| 項目 |
高炉(転炉)法 |
電炉法 |
| 主な原料 |
鉄鉱石・石炭(コークス) |
鉄くず(スクラップ) |
| エネルギー源 |
石炭の燃焼熱 |
電力 |
| 主な立地 |
臨海部(輸入に便利) |
都市近郊(原料確保に便利) |
| 環境負荷 |
CO2排出量が多い |
CO2排出量が比較的少ない |
コラム
鉄鉱石から鉄を取り出す工程では、燃料として石炭(コークス)を使用し、高炉で溶融・還元を行います。このため、日本の主要な製鉄所は、大型貨物船が直接着岸できる「臨海工業地域」に集中して立地しています。また、環境負荷の低減や資源の有効活用の観点から、鉄鉱石から新しい鉄を作るだけでなく、鉄くずを原料として再利用するリサイクルも重要な役割を担っています。持続可能な産業構造への転換が進む中で、天然資源である鉄鉱石とリサイクル資源のバランスが注目されています。