- 加工貿易
- 外国から原材料や燃料を輸入し、国内で加工して製品を製造した上で、再び外国へ輸出する貿易形態
- 資源の乏しい日本が、付加価値の高い工業製品を輸出することで経済発展を遂げる主軸となった
- 1980年代以降は貿易摩擦や円高の影響により、企業の海外進出(現地生産)が進み、構造が変化した
- 現在は原材料だけでなく、海外で製造された最終製品を輸入する「製品輸入」の割合が高まっている
解説
日本の加工貿易は、戦後の高度経済成長期において、自動車、電化製品、精密機械といった重化学工業を中心に発展しました。オーストラリアから鉄鉱石や石炭を、中東諸国から原油を輸入し、それらを国内の臨海部に位置する工業地帯で加工して世界中に販売する形式が一般的です。
しかし、1980年代に対米輸出が急増したことで「貿易摩擦」が発生しました。これを解消するための輸出自主規制や、円高によるコスト増を避けるための海外進出が進んだ結果、国内の製造業が衰退する「産業の空洞化」が深刻な課題となりました。現在では、アジア諸国との間で互いに製品を輸出入する「水平分業」へと移行しています。
| 項目 |
伝統的な加工貿易 |
現代の貿易(水平分業など) |
| 輸入するもの |
原材料・燃料(鉄鉱石、原油など) |
原材料に加え、製品(衣類、家電など) |
| 輸出するもの |
工業製品(自動車、機械など) |
高機能部品、高度な機械など |
| 生産場所 |
国内の工業地帯(臨海部) |
国内および海外の現地工場 |
コラム
加工貿易を支える拠点として、港湾の役割は非常に重要です。例えば、原油の輸入量が多い千葉港(京葉工業地域・市原市など)や、自動車の輸出が盛んな名古屋港(中京工業地帯)は、日本の貿易構造を象徴する拠点となっています。
また、為替相場の変動(円安・円高)は加工貿易の利益に直結します。円安は輸出製品の価格競争力を高めますが、原材料の輸入コストを押し上げます。一方、円高は輸入コストを下げますが、輸出製品の価格が高くなり、海外での販売が不利になります。近年の日本は、食料自給率の低さやエネルギー問題と並んで、これらの貿易収支の動向が国家経済に与える影響を注視し続けています。