日本列島において人類の活動が始まった最も古い時代であり、更新世(氷河時代)の寒冷な環境下で、土器を使用せず打製石器を用いて狩猟・採取・漁労を基盤とした移動生活が行われていた時期を指す。
解説
日本列島の旧石器時代は、約数万年前の更新世(地質学上の氷河時代)に遡る。当時は世界的な寒冷化により海水面が現在よりも低く、日本列島はユーラシア大陸と陸続きの状態にあった。この陸橋を渡ってナウマンゾウやマンモス、オオツノシカといった大型哺乳類が列島に流入し、それらを追う形で人類も到達したと考えられている。当時の生活基盤は、石を打ち欠いて鋭い刃先を作った「打製石器」に依存しており、人々は一定の場所に定住することなく、食料を求めて洞穴や簡易的な天幕を拠点に移動生活を送っていた。
かつて日本の歴史は縄文時代から始まると考えられていたが、1949年に相沢忠洋が群馬県の岩宿遺跡において、関東ローム層(火山灰層)から黒曜石の打製石器を発見したことで状況が一変した。これにより、土器を使用しない文化段階(先土器時代)が日本にも存在したことが初めて科学的に立証され、日本史の始点は大幅に遡ることとなった。
コラム
旧石器時代の終焉は、約1万数千年前の急激な気候温暖化と密接に関係している。温暖化による海面上昇で日本列島が大陸から切り離されて島国となり、植生が針葉樹林から落葉広葉樹林へと変化した。大型動物の絶滅に伴い、ニホンジカやイノシシなどの中小動物を射止めるための「弓矢」が普及し、さらに食料を煮炊き・保存するための「土器」が製作されるようになったことで、時代は縄文時代へと移行していくことになる。