対馬海流とは、黒潮(日本海流)から東シナ海で枝分かれし、対馬海峡を抜けて日本海を北東へと流れる暖流のことである。
黒潮暖流日本海側気候豪雪地帯対馬海峡
解説
対馬海流は、日本海における海洋環境や沿岸部の気候に多大な影響を及ぼしている。この海流は熱帯由来の温かい海水を日本海へ送り込むため、周辺海域の水温を上昇させる役割を果たす。特に冬季において、シベリア高気圧から吹き出す冷たく乾燥した季節風がこの温かい対馬海流の上を通過する際、海水面から熱と大量の水蒸気を供給される。これが日本列島の脊梁山脈に衝突して上昇気流となり、日本海側の地域に世界的な豪雪をもたらす主要な要因となっている。
また、対馬海流は豊かな漁場を形成する要素でもある。ブリ、アジ、サバといった暖流系の魚を日本海北部まで運ぶため、沿岸各地で活発な漁業が行われている。日本海の北側から南下してくる冷たいリマン海流とこの対馬海流が交差する海域は、プランクトンが豊富で絶好の漁場となる。対馬海流はその後、津軽海峡や宗谷海峡、さらには一部が太平洋やオホーツク海へと流れ込み、周辺海域の生態系を支え続けている。
コラム
地理の学習において、対馬海流の名前の由来である「対馬(長崎県)」の正確な位置を把握することは非常に重要である。九州地方の地理問題では、世界自然遺産の「屋久島(鹿児島県)」や、真珠の養殖が盛んな宇和海(愛媛県)、カキの養殖が盛んな広島湾などとの位置関係や特徴の判別が頻出する。また、九州地方の産業を分析する際には、農産物や家畜の生産割合を示すグラフを読み取る能力も求められるため、これらの広域的な知識と対馬海流がもたらす気候的恩恵を関連付けて理解しておくとよい。例えば、日本最高峰の富士山が豊富な湧水をもたらす源であるように、対馬海流もまた日本海沿岸の豊かな自然環境を支える大きな源流の一つと言える。