7世紀にアラビア半島のメッカでムハンマドが創始した一神教です。唯一神アッラーを信仰し、神の啓示を記した聖典『コーラン(クルアーン)』を生活の規範とします。キリスト教、仏教と並ぶ世界三大宗教の一つであり、中東、北アフリカ、中央アジア、南アジア、東南アジアを中心に、世界中に約19億人以上の信者(ムスリム)が存在します。
解説
イスラム教の大きな特徴は、信仰が日常生活の隅々にまで浸透している点にあります。ムスリムには「五行」と呼ばれる5つの義務(信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼)が課せられており、これを通じて神への帰依を示します。特にラマダン(断食月)の間は、日の出から日没まで一切の飲食を断つことで、忍耐や恵まれない人々への共感を学びます。また、偶像崇拝が厳格に禁止されているため、モスクの装飾には神や人の像ではなく、植物をモチーフにした幾何学模様(アラベスク)や、コーランの一節を美しく書いたカリグラフィーが用いられます。
地理的な分布を見ると、中東諸国だけでなく、人口規模では東南アジアのインドネシアが世界最大のムスリム人口を抱えています。イスラム教は、単なる精神的な教えにとどまらず、家族法や経済活動にまで影響を与える「シャリーア(イスラム法)」という独自の法体系を持っており、これが各国の文化や社会システムと密接に関わっています。例えば、利子の禁止や、豚肉・アルコールを禁じる食事規定(ハラール)などは、現代のグローバル経済や観光ビジネスにおいても重要な要素となっています。
コラム
サウジアラビアはイスラム教発祥の地であり、聖地メッカとメディナを擁する「聖地守護職」としての地位を確立しています。そのため、同国ではコーランを憲法に代わる最高法典としており、政治と宗教が分かちがたく結びついています。一方、記述問題などで頻出するインドネシアのように、多様な民族が共生する国では、イスラム教を国教とは定めず、信教の自由を認めつつもイスラムの価値観を尊重するという形態をとっています。
また、中東諸国は石油(原油)の輸出国として有名ですが、これらの資源収入(オイルマネー)を背景にした経済発展においても、イスラムの教えに基づいた金融システム(イスラム金融)が活用されています。世界の人々と交流する際、こうした宗教的背景を理解することは、相手の文化や価値観を尊重する上で欠かせない基礎知識となります。