ユネスコ(UNESCO)は、正式名称を「国際連合教育科学文化機関」といい、教育、科学、文化の分野における国際協力を通じて、世界の平和と安全に貢献することを目的とした国際連合の専門機関です。
解説
1946年に設立され、フランスのパリに本部を置いています。その活動の根底には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」というユネスコ憲章の理念があります。教育の普及による相互理解の促進や、科学的な知見の共有、文化の多様性の保護を通じて、武力に頼らない平和を目指しています。
主な活動の一つに「世界遺産」の登録と保護があります。これには歴史的な建造物などの「文化遺産」、貴重な生態系や地形を対象とする「自然遺産」、そして伝統的な芸能や技術などを保護する「無形文化遺産」が含まれます。日本では、白神山地や屋久島、知床、小笠原諸島、奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島といった独自の生態系を持つ地域が自然遺産に登録されています。また、1954年の水爆実験で日本の漁船「第五福竜丸」が被爆した事件に関連するビキニ環礁が、核兵器の時代の象徴として世界文化遺産に登録されるなど、歴史的な惨劇を記憶し平和を訴える教育的側面も重視されています。
コラム
世界遺産への登録は、国際的な保護体制の確立や観光振興といった利点がある一方で、観光客の急増による環境悪化や住民生活への影響(オーバーツーリズム)が大きな課題となっています。また、ユネスコは生物多様性だけでなく、地質学的な価値を持つ「大地の遺産」を保護する「世界ジオパーク」の認定も行っています。国際社会においては、安全保障理事会などの主要機関やWHO(世界保健機関)といった他の専門機関と連携し、核拡散防止条約(NPT)や核兵器禁止条約などの平和への歩みとも深く関わっています。