まとめ
弾劾裁判とは、心身の故障や職務上の義務違反、あるいは裁判官としての品位を著しく汚すような行いがあった裁判官を辞めさせる(罷免する)かどうかを判断するために、国会内に設置される特別な裁判のことです。
解説
憲法では裁判官の身分が強く保障されており、行政機関などが勝手に裁判官を辞めさせることはできません。しかし、裁判官が著しく不適切な行動をとった場合に国民がそれを是正できないと、司法への信頼が失われてしまいます。そこで、国民の代表である国会議員が裁判官を裁く「裁判官弾劾裁判所」という仕組みが設けられています。これは、国会(立法)・内閣(行政)・裁判所(司法)が互いを抑制し合う「三権分立」の重要な一角を担っています。
弾劾裁判は、一般の裁判所ではなく国会で行われます。まず、衆議院と参議院の議員各10名で構成される「裁判官訴追委員会」が調査を行い、裁判にかけるべきだと判断した場合に訴追(起訴に相当)します。その後、衆参各7名(計14名)の国会議員で構成される裁判官弾劾裁判所で審理が行われます。ここで出席した裁判員の3分の2以上の賛成によって罷免が決定されると、その裁判官は即座に職を失い、弁護士や検察官になる資格も一定期間停止されます。これは、ニュースなどで耳にする「裁判員制度」とは全く別のもので、裁かれる対象が裁判官に限定されているのが特徴です。
弾劾裁判が「国会」によるチェックであるのに対し、主権者である「国民」が直接最高裁判所の裁判官をチェックする仕組みが「国民審査」です。これは衆議院議員総選挙の際に行われ、辞めさせたい裁判官の名前に×印をつけ、罷免を可とする票が有効票の過半数に達した場合に罷免されます。なお、地方自治体の首長や議員を辞めさせる権利は「リコール(解職請求)」と呼ばれ、署名を集めて住民投票を行うという異なる手続きがとられます。
また、国会が弾劾裁判で罷免を決定する際の条件(出席者の3分の2以上の賛成)は、憲法改正の発議や、衆議院での法律案の再議決と同じく、非常に厳格な特別多数決となっています。通常の議決(過半数)よりも厳しい条件を課すことで、裁判官の身分を保護しつつ、重大な問題がある場合には確実に対処できるバランスを保っています。
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