- 包括的核実験禁止条約
- 宇宙、大気圏内、水中、地下を含むあらゆる空間での核兵器の爆発実験を禁止する条約
- 1996年に国連総会で採択されたが、特定の国々の批准が揃わず未だに正式発効していない
- 1963年の部分的核実験禁止条約(PTBT)で認められていた地下核実験も禁止対象としている
- 核兵器の新規開発や性能向上を物理的に困難にし、核軍縮を促進することを目的とする
解説
包括的核実験禁止条約(CTBT)は、冷戦期の核軍拡競争に対する反省から生まれた重要な国際ルールです。1954年のビキニ環礁での水爆実験による第五福竜丸の被爆事件や、1962年に核戦争寸前まで至ったキューバ危機などを経て、世界中で核実験禁止を求める声が高まりました。
1963年には「部分的核実験禁止条約(PTBT)」が成立しましたが、これは地下核実験を認めていたため、核開発を完全に止めることはできませんでした。これに対し、CTBTは地下を含む「あらゆる場所」での実験を禁止した点が画期的です。
| 項目 |
部分的核実験禁止条約(PTBT) |
包括的核実験禁止条約(CTBT) |
| 採択年 |
1963年 |
1996年 |
| 禁止範囲 |
大気圏内、宇宙、水中 |
あらゆる空間(地下を含む) |
| 地下核実験 |
認められていた |
禁止 |
しかし、この条約が効力を持つためには、原子力能力を持つ特定の44カ国すべてが批准(国として同意すること)する必要があります。アメリカや中国が署名のみで批准しておらず、北朝鮮などは署名すらしていないため、現在も「未発効」の状態が続いています。
コラム
条約は未発効ですが、オーストリアのウィーンには「CTBT準備委員会」が設置されており、世界中に設置された観測網(国際監視制度:IMS)を使って、秘密裏に核実験が行われていないか24時間体制で監視しています。
また、かつて大規模な核実験が行われたマーシャル諸島のビキニ環礁は、核兵器の恐ろしさを伝える「負の遺産」として、2010年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。これは、人類が二度と同じ過ちを繰り返さないための戒めとなっています。