解説
鉄鋼業は、鉄鉱石から不純物を取り除き、強度の高い鉄(鋼)を作り出す産業です。まず、鉄の主原料となる「鉄鉱石」と、それを溶かすための燃料および還元剤となる「石炭(コークス)」が必要です。さらに、鉄鉱石に含まれる不純物を分離しやすくする副原料として「石灰石」が加えられます。
かつては国内の炭田に近い場所に製鉄所が建設されましたが、現在は原料のほぼ全量をオーストラリアやブラジルなどから輸入しているため、輸送コストを抑えられる港の近く(臨海部)に工場が集まっています。このように、原料の産地ではなく消費地や貿易の拠点に立地する形態を「臨海指向型」と呼びます。
コラム
石炭はそのまま高炉に入れるのではなく、空気を遮断して蒸し焼きにした「コークス」という状態で使用されます。これにより、燃焼効率を高めると同時に、鉄鉱石から酸素を奪う還元反応を促進させます。
近年では、環境保護や資源のリサイクルの観点から、鉄くず(スクラップ)を電気の熱で溶かして再び鉄製品にする「電気炉(電炉)」による生産も注目されています。しかし、高品質な鋼材を大量に生産する場合には、依然として高炉を用いた原料からの生産が主流となっています。