- 北海道の中央南部を南北に約150kmにわたって貫く、「北海道の背骨」と称される険しい山脈です。
- 日本国内でも珍しい、氷河の浸食によって削られた「カール(圏谷)」という地形が数多く残っていることで知られています。
- 北米プレートとユーラシアプレート(千島弧と東北日本弧)の衝突によって隆起した、地質学的にも重要な山域です。
解説
日高山脈は、北海道の屋根とも呼ばれる大雪山系から南の襟裳岬まで続く、非常に険しい山岳地帯です。この山脈の最大の特徴は、その成り立ちにあります。数千万年前、東側から移動してきた千島弧(プレートの一部)が、西側の東北日本弧と激しく衝突しました。この巨大なエネルギーによって地面が押し上げられ、現在のような高く険しい山々が形成されました。
また、日高山脈は日本で最も氷河地形が発達している場所の一つです。約2万年前の氷河期に、山の上部に積もった雪が氷の塊となり、自重で斜面を削り取りました。その結果、お椀の底のような形をした「カール(圏谷)」と呼ばれる独特の地形が形成されました。最高峰の幌尻岳(標高2,052m)をはじめ、1,500mから2,000m級の山々が連なり、登山道が整備されていない箇所も多いため、日本で最も登頂が困難な山域の一つとされています。
コラム
日高山脈は、2024年6月に「日高山脈襟裳十勝国立公園」として、日本で35番目の国立公園に指定されました。これは日本最大の面積を誇る国立公園です。人為的な開発がほとんど行われていないため、手つかずの自然が残されており、ヒグマやナキウサギ、さらには日高山脈固有の高山植物など、貴重な生態系が維持されています。
また、この山脈は十勝平野と日高地方を隔てる大きな壁のような役割も果たしています。そのため、山脈の東西で気候が大きく異なり、冬には西側で雪が多く、東側の十勝側では晴天が続く「十勝晴れ」と呼ばれる現象が起こる要因にもなっています。