商業や貿易の拠点となる港を中心に、物資の集散や文化の交流を通じて発達した都市のこと。中世から近世にかけて、日本国内の広域的な流通網や海外との通商を支える重要な経済的役割を担った。
解説
港町は、その時代の経済状況や交通網の整備に応じて多様な発展を遂げてきた。中世においては、日宋貿易や日明貿易の拠点となった博多や、自由な商業活動で知られる自治都市・堺が代表的である。
江戸時代に入ると、海上交通網のさらなる充実に伴い、国内物流の要として機能が強化された。特に日本海側の酒田や敦賀は、西廻り航路の要所として、北前船がもたらす各地の産物を中継した。また、瀬戸内海の兵庫(現在の神戸)などは、西国諸藩の物資が大坂へと向かう際の重要な寄港地となった。これらの町には、諸藩が年貢米や特産物を保管・売却するために設けた「蔵屋敷」が集中し、問屋や仲買人による活発な取引が行われた。
幕府の対外政策においては、長崎が唯一の公認された海外貿易の窓口として、出島を通じてオランダや清との交渉を支えた。これらの港町は、城下町や宿場町とともに、三都(江戸・大坂・京都)を中心とした当時の物流システムを支える不可欠なインフラであったといえる。