- 開発途上国の人々が日本の技術を学び、自国の経済発展に活かす「国際貢献」を目的として1993年に始まった制度。
- 実態は深刻な人手不足を補う労働力確保の手段となっており、低賃金や転籍の制限といった人権侵害が社会問題化した。
- 2024年の法改正により、人材確保と育成を目的とした「育成就労制度」へ移行することが決定した。
解説
技能実習制度は、本来「技術移転による国際協力」を掲げてスタートしました。しかし、実際には建設業や農業、食品加工などの現場で、日本人労働者が集まりにくい職種の労働力を補うために利用されてきました。この「建前(国際貢献)」と「本音(労働力確保)」のズレが、さまざまな弊害を生む原因となりました。
特に大きな問題となったのが、実習生が自分の意思で職場を変える「転籍」が原則として認められていなかった点です。これにより、劣悪な労働環境であっても逃げ場がなく、失踪や不当な搾取につながるケースが相次ぎました。国際社会からも「現代の奴隷制」との厳しい批判を受け、制度の抜本的な見直しが迫られました。
コラム
新しく導入される「育成就労制度」では、これまでの国際貢献という目的を改め、日本国内の人手不足を解消するための「人材確保・育成」を明確に打ち出しています。一定の条件を満たせば職場を変える権利が認められるほか、3年間の就労を経て、より長期の在留が可能な「特定技能」への移行をスムーズにすることを目指しています。
また、現代社会においては、こうした制度の変化だけでなく、SNSでの情報発信やデジタル技術の活用も重要です。外国人労働者が正しい情報を得られるよう、デジタル・デバイド(情報格差)の解消やメディアリテラシーの向上も、共生社会を築くための大きな課題となっています。