- パソコンやインターネットなどの情報通信技術(ICT)を利用できる人とできない人の間に生じる、経済的・社会的な格差のこと。
- 所得、年齢、居住地域、障害の有無などによって、情報の入手量や機会に差が生まれる現象を指す。
- この格差が放置されると、就職や教育、行政サービスの利用において不利益が生じ、貧困の固定化や社会的な孤立につながる恐れがある。
解説
デジタル・デバイドは、単に「通信機器を所有しているか」という物理的な差だけを指す言葉ではありません。インターネットを使いこなして必要な情報を取捨選択し、それを生活や仕事に役立てる能力(メディアリテラシー)の差も重要な要素です。例えば、高所得世帯では最新の端末や高速な通信環境を整えやすい一方、低所得世帯や母子世帯などではその負担が重く、教育や就職活動において不利な状況に置かれることがあります。
また、都市部と過疎地の間での通信インフラの整備状況の差や、若年層と高齢者の間の操作スキルの差も深刻です。近年では行政手続きのデジタル化(DX)が加速していますが、ネット環境を持たない人々が公的な支援から取り残される「デジタル弱者」の問題が浮き彫りになっています。SNSの普及により、匿名性を背景とした誹謗中傷や情報の真偽を見極める力の差も、新たな社会問題としてデジタル・デバイドの議論に含まれるようになっています。
コラム
この問題は、日本国内だけでなく国際的な「南北問題」の一側面としても捉えられています。先進国と途上国の間の情報格差は、経済成長の格差をさらに広げる要因となります。また、現代社会においては「知る権利」を保障するための新しい人権の観点からも議論されており、すべての人が等しくデジタル化の恩恵を受けられる社会づくりが求められています。最近では、外国人労働者の受け入れ拡大に伴い、技能実習制度から育成就労制度への移行が進む中で、言語や文化の壁を超えてデジタル情報を届ける仕組みづくりも、デジタル・デバイド解消の重要な課題となっています。