経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)とは、特定の2国間や地域間で、貿易における関税の撤廃や削減だけでなく、投資の促進、サービス貿易の自由化、知的財産の保護、さらには人の移動の円滑化など、幅広い分野での経済活動を一体となって進めるための協定です。
解説
EPAは、主に物品の関税撤廃を目的とした自由貿易協定(FTA)の内容をさらに深化・拡大させたものです。モノの動きに加えて、資本(投資)やサービス、そして専門的な人材が国境を越えて自由に行き来できる環境を整えることで、参加国全体の経済を活性化させることを目指します。日本の場合、自動車や電子部品の輸出がしやすくなるメリットがある一方で、相手国から看護師・介護福祉士などの人材を受け入れるルールもこの協定に基づいて定められています。
近年のグローバル経済においては、経済の効率化だけでなく「安定性」も重視されています。かつてはEPAなどの経済協定によって海外での「現地生産」や「国際分業」が加速しましたが、新型コロナウイルスの流行や国際情勢の変化により、半導体などの重要部品の供給網(サプライチェーン)が寸断されるリスクが浮き彫りとなりました。これを受け、信頼できるパートナー国とEPAを締結し、資源や材料を安定的に確保しようとする「経済安全保障」の観点から、その役割は一層重要度を増しています。
コラム
日本は、1対1の協定だけでなく、多くの国が参加するメガEPAにも積極的に取り組んでいます。代表的なものとして、アジア太平洋地域の11カ国が参加する「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」や、日本・中国・韓国・ASEANなどが参加する「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」が挙げられます。
これらの協定は、発展途上国と先進国の間の経済格差(南北問題)の是正や、世界貿易機関(WTO)による多角的な自由貿易体制を補完する役割を担い、複雑化する現代の国際経済を支える重要な基盤となっています。