北大西洋条約機構(NATO)は、1949年にアメリカ合衆国、カナダ、および西ヨーロッパ諸国が結成した軍事同盟です。加盟国に対する武力攻撃を全加盟国への攻撃とみなす「集団的自衛権」を中核に据えており、冷戦期から現代に至るまで、国際社会の安全保障における主要な枠組みとして機能しています。
解説
第二次世界大戦直後に始まった冷戦において、ソ連を中心とする東側陣営の脅威に対抗するために設立されました。これに対し、ソ連側も1955年にワルシャワ条約機構を組織して対抗しましたが、1991年のソ連解体に伴い東側の組織は消滅しました。一方でNATOは冷戦後も存続し、旧共産圏諸国への拡大を続けながら、その役割を多様化させてきました。
活動の範囲は単なる加盟国の防衛に留まらず、1990年代の湾岸戦争後の対応や、2001年のアメリカ同時多発テロ事件を受けたアフガニスタンへの攻撃など、国境を越えたテロ対策や紛争解決にも関与しています。ニューヨークに本部を置く国際連合(国連)が、安全保障理事会の常任理事国による拒否権行使などによって迅速な対応が難しい場合、NATOが独自の判断で軍事行動を主導することもあり、その国際的な是非が議論されることも少なくありません。
コラム
NATOの歴史は、ドイツやベトナムの分断と統一、あるいは朝鮮戦争といった冷戦下の重大事件と深く結びついています。例えば、かつての西ドイツがNATOに加入したことは、当時の東西対立を象徴する出来事でした。また、中東戦争をきっかけとした石油価格高騰(オイルショック)や、紛争地から発生する難民の問題など、軍事以外の国際情勢の変化もNATOの戦略に影響を与えてきました。
現在は、ウクライナ情勢を背景としたロシアとの緊張再燃により、北欧諸国の新規加盟が進むなど、その存在意義が改めて世界的に注目されています。