- 紛争や迫害によって故郷を追われた「難民」を保護し、国際的な支援を行う国際連合の機関。
- 正式名称は「国連難民高等弁務官事務所」で、1950年に設立され、本部はスイスのジュネーブに置かれている。
- 人道支援における多大な功績が認められ、1954年と1981年の2度にわたりノーベル平和賞を受賞している。
解説
UNHCRの主な役割は、家を追われた人々に水や食料、テントなどを届ける緊急支援です。しかし、それだけではなく、難民が自分の国に帰れるように話し合いをしたり、別の国で新しく生活を始められるよう手助けしたりする「恒久的な解決」を目指しています。冷戦時代には、ドイツやベトナム、朝鮮半島のように国が分断された地域から多くの難民が発生しましたが、UNHCRはそうした歴史的な局面でも人道支援の最前線で活動してきました。
近年では、国境を越えた難民だけでなく、国内で避難生活を送る「国内避難民」の保護にも力を入れています。また、紛争だけでなく、気候変動による自然災害で住む場所を失った人々への対応も急務となっています。SDGs(持続可能な開発目標)の「誰一人取り残さない」という理念を具現化する組織として、その重要性はますます高まっています。
コラム
難民問題は、単なる人道支援の枠を超え、地球規模の様々な課題と密接に関わっています。例えば、熱帯林の伐採やオゾン層の破壊といった環境問題は、将来的に「環境難民」を生む原因となります。また、私たちがフェアトレードの商品を選ぶことは、途上国の経済的自立を助け、紛争の火種となる貧困を減らすことにつながります。
日本との関わりでは、1991年から10年間にわたり第8代高等弁務官を務めた緒方貞子氏の功績が欠かせません。彼女が提唱した「人間の安全保障」という概念は、国家の枠組みだけでなく、個人の生命や尊厳を守ることを重視するもので、現在の国際協力におけるスタンダードとなっています。