集団安全保障とは、多数の国があらかじめ「武力行使をしない」という約束を結び、もし加盟国の中にその約束を破って他国を侵略する国が現れた場合には、加盟国全体が協力してその国に対して制裁を加え、平和を回復しようとする平和維持の仕組みのことです。一国に対する攻撃を加盟国全体への攻撃とみなし、全世界的な警察のような役割で平和を維持するという考え方に基づいています。
タグ:国際連合, 国際連盟, 安全保障理事会, 拒否権, 経済制裁
解説
この仕組みは、第一次世界大戦の惨禍を教訓に、国際連盟において初めて導入されました。しかし、当時の国際連盟には大きな弱点がありました。提唱国であるアメリカが国内の反対で不参加となり、ドイツやソ連といった大国も当初は排除されていたため、組織としての強制力が不十分だったのです。また、制裁手段が経済的なものに限られていたため、第二次世界大戦の勃発を防ぐことができませんでした。
第二次世界大戦後に発足した国際連合では、これらの反省から、経済制裁だけでなく軍事的な制裁も行えるようになりました。また、1960年の「アフリカの年」を経て加盟国が急増し、組織の規模が拡大しました。日本については、1956年に当時のソ連と国交を回復した(日ソ共同宣言)ことを受けて国際連合への加盟が承認され、以降、国際社会の一員としてこの枠組みの中で平和維持に貢献しています。
コラム
集団安全保障は、特定の国同士が同盟を組んで対抗する「集団的自衛権」とは本質的に異なります。内部の違反者を全体で取り締まる「包括的な平和維持」を目指していますが、現代ではいくつかの課題も抱えています。特に、安全保障理事会の常任理事国(米・英・仏・中・露)のいずれか一国でも反対すれば決定が下せない「拒否権」の存在により、大国が関わる紛争では機能しにくいという構造的な問題があります。近年では、武力紛争の解決だけでなく、SDGs(持続可能な開発目標)の理念に基づいた、環境や人権の保護も含めた広義の安全保障という視点からもその役割が議論されています。