世界保健機関(WHO)は、世界中の人々が可能な限り最高の健康水準に到達することを目的として1948年に設立された、国際連合(国連)の専門機関です。スイスのジュネーブに本部を置き、感染症の拡大防止や保健システムの強化、医療に関する国際基準の策定など、国境を越えた公衆衛生上の課題に取り組む中心的な役割を担っています。
解説
WHOの主な役割は、パンデミック(感染症の世界的な流行)の際に国際的な調整を行ったり、各国の保健政策に対して技術的な支援を行ったりすることです。例えば、天然痘の根絶に成功したことはWHOの大きな功績として知られています。また、病気の名前を統一する「国際疾病分類(ICD)」を作成したり、タバコの規制に関する条約を主導したりと、医学的な根拠に基づいたルール作りも重要な仕事です。
活動資金は、加盟国からの分担金や、民間団体などからの寄付金によって支えられています。地球上のすべての人が適切な医療サービスを受けられる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の実現を目指し、貧困地域での医療体制の整備や母子保健の向上にも力を入れています。近年の感染症危機においては、迅速な情報共有と各国への提言がこれまで以上に重要視されています。
コラム
WHOとよく比較される国際機関として、ユネスコ(UNESCO)やユニセフ(UNICEF)があります。ユネスコは教育・科学・文化を通じた平和を目的とし、世界遺産の登録などを行っています。一方、ユニセフは発展途上国の子どもたちの命と健康を守るための直接的な援助を行っています。WHOが「医療や健康全般の仕組みや基準」を整える機関であるのに対し、ユニセフは「子どもへの具体的な物資支援」という側面が強いのが特徴です。試験などでは、各機関がどの分野(健康、教育、児童など)を担当しているかを正確に区別することが大切です。