公共事業とは、国や地方自治体が社会共通の利益(公共の福祉)を増進するために、公的な資金を投じて行う建設工事や整備事業の総称である。具体的には、道路、橋、ダム、下水道といった社会資本(インフラ)の整備のほか、環境保全や災害対策などが含まれる。市場原理に任せるだけでは十分に供給されないサービスや施設を提供し、国民生活の基盤を支える役割を担う。
解説
公共事業は、経済の状況に合わせて調整される「財政政策」としての重要な機能を持っている。景気が冷え込んでいる不景気の時期には、政府は公共事業の予算を増やして工事を積極的に発注する。これにより、建設会社をはじめとする多くの企業に仕事が回り、雇用が守られ、人々の所得が増えることで消費も刺激される。これを「有効需要の創出」と呼ぶ。
逆に、景気が過熱して物価が高騰するインフレの時期には、公共事業を抑制することで市場に流れるお金の量を減らし、景気の落ち着きを図る。このように、公共事業は景気の変動を穏やかにし、経済を安定させるための「重り」のような役割を果たしている。政府はこのような財政政策や日本銀行による金融政策を組み合わせ、国民経済を健全に保つよう努めている。
コラム
公共事業の主な財源は税金であるが、大規模なプロジェクトでは「建設国債」を発行して将来の世代と負担を分かち合うこともある。しかし、多額の公共事業を継続することは国の借金(財政赤字)を増やす原因にもなるため、現在は効率的な予算配分による「財政再建」とのバランスが厳しく問われている。
また、近年では高度経済成長期に集中的に作られたインフラが更新時期を迎えつつあり、新しいものを作るよりも、既存の施設をいかに長持ちさせるかという「老朽化対策」や「メンテナンス」に重点が移っている。限られた予算の中で、いかに効率的に社会の安全と利便性を支えるかが今後の大きな課題である。