江戸時代後期、特に幕末期において、社会的な混乱や経済的な不平等を是正し、理想的な新しい秩序の到来を求めた民衆による一連の訴えや行動のことである。
解説
日米修好通商条約の締結による貿易開始が、民衆の生活に深刻な影響を及ぼした。生糸が大量に輸出されたことで国内は品不足に陥り、物価が急騰した。一方で、安価な綿織物が輸入されたため、国内の綿織物業は大きな打撃を受けた。さらに、日本と外国の金銀交換比率の差をつかれ、大量の金貨が国外へ流出したことも経済混乱に拍車をかけた。
こうした経済的困窮への怒りは、特権を持つ村役人や豪農、商人に向けられた。農村では不当な支配を正そうとする「世直し一揆」が頻発し、都市部では米の買い占めを行う商人を襲撃する「打ちこわし」が横行した。これらの運動は単なる抗議行動にとどまらず、古い封建的な身分秩序を否定し、幕府の支配体制を底辺から揺るがす原動力となった。
コラム
慶応3年(1867年)には、東海・近畿・四国地方を中心に「ええじゃないか」の集団乱舞が発生した。空からお札が降ってきたという噂を信じ、人々が「ええじゃないか」と歌い踊り歩いたこの現象は、世直しの期待が宗教的な熱狂として噴出したものとされる。これらの民衆運動は、明治維新に向けた社会変革のエネルギーの一翼を担った。