避難港(ひなんこう)とは、暴風雨などの悪天候が発生した際に、航行中の小型船舶が遭難を避けるために一時的に避難することを主な目的とした港のことです。港湾法によって定められており、通常の貨物の積み下ろしや漁業活動のためではなく、船の安全を確保するという保安上の役割に特化して指定されています。
解説
避難港は、日本の長い海岸線の中で、近くに大きな港がない場所や、地形の影響で波が荒くなりやすい海域に設置されています。大型の商船や豪華客船(クルーズ船)などは、ある程度の悪天候でも自力で航行を続けたり、広い沖合で安全を確保したりできますが、小型の漁船やレジャーボートなどは急な天候の変化に対応しきれないことがあります。そのような際、すぐに逃げ込める「駆け込み寺」のような場所として避難港が機能します。
これらの港は、千葉県の銚子港や静岡県の焼津港といった有名な「漁港」とは役割が異なります。漁港には魚を加工する施設や鮮度を保つための製氷工場が立ち並び、商業港には輸出入のための通関手続きを行う施設がありますが、避難港はあくまで緊急避難用であるため、防波堤や船を繋ぎ止める設備といった、安全を守るための最低限のインフラが中心となっています。
コラム
避難港の整備は、特定の企業の利益のためではなく、海上の安全を守るという公共の目的で行われるため、その費用の多くは国や地方自治体によって賄われています。試験や学習においては、港の種類を特定する問題が出されることがあります。写真や図から、大規模なクレーンや工場が見当たらない一方で、頑丈な防波堤に囲まれた小規模な港がある場合は、それが避難港である可能性を考えましょう。
また、近年では気象情報の精度が上がっていますが、それでも突発的な突風や高波による海難事故は絶えません。避難港は、日本の海における安全網(セーフティネット)として、現在も重要な位置づけにあります。