- 江戸時代に発行された、時事ニュースや事件を速報するための非公式な印刷物。
- 木版印刷(一説には粘土製の瓦版)を用いて安価に大量生産され、街頭で読み上げながら販売された。
- 現代の新聞の先祖にあたり、天変地異や心中、仇討ちなどの庶民の関心事を広く伝えた。
解説
かわら版は、江戸時代における情報の伝達手段として大きな役割を担いました。幕府の許可を得ずに発行される「無許可の出版物」であることが多く、公的な記録には残りにくい庶民の生の声や、世間を騒がせた事件の詳報をいち早く伝えるメディアでした。
その内容は多岐にわたり、大地震や大火などの災害情報から、心中事件や仇討ちといったスキャンダラスな話題、さらには珍獣の出現といった娯楽性の高いものまで含まれていました。情報を売る「読売」と呼ばれる人々が、内容を節をつけて歌うように読み上げながら売り歩く姿は、江戸の日常風景の一部となっていました。
コラム
かわら版の名称の由来には諸説あり、粘土を焼いた「瓦」を版木として利用したという説や、河原で売られていたからという説などがあります。実際には木版による印刷が主流でしたが、速報性が重視されたため、丁寧な装丁よりも素早く刷り上がる簡便な作りが特徴でした。
明治時代に入り、活版印刷技術を用いた近代的な新聞が登場すると、かわら版はその役割を終えて姿を消しました。しかし、情報を迅速に共有し、社会の関心を形にするというその機能は、現代のニュースメディアやSNSの原点とも言えるものです。