電気を光源とする照明器具。日本では大正時代から昭和初期にかけて全国の家庭に普及し、夜間の生活を劇的に明るく変えるとともに、都市化や大衆文化の発展を象徴する近代化の存在となった。
解説
大正時代から昭和初期にかけて、日本の都市部は工業の発展を背景に急速な近代化を遂げた。電灯の普及は夜間の活動時間を拡大させ、生活様式の洋風化を促した。この時期、都市人口の増加に伴って「都心の職場」と「郊外の住宅」を分ける「職住分離」が進み、それをつなぐ地下鉄や私鉄などの交通網が整備された。
1927年には東京の上野―浅草間で日本初の地下鉄が開通した。また、私鉄各社は沿線住民の利便性を高め、自社の利用客を増やす目的で、鉄道駅に直結した百貨店(ターミナルデパート)などの商業施設を建設した。こうしたインフラの整備は、教育の普及と相まって、ラジオ放送の開始や映画の流行といった大衆文化を花開かせる土壌となった。
コラム
日本における電灯の歴史は、1882年に銀座大倉組前で点灯されたアーク灯に始まる。その後、1887年に東京電燈会社が日本初の発電所を設立し、供給を開始した。当初は高価であったが、明治末期から大正期にかけてタングステン電球の登場や電力網の整備により、ガス灯に代わって一般家庭へ急速に普及した。