浮世絵師とは、江戸時代に庶民の間で流行した風俗画である「浮世絵」を手がけた絵師の総称です。「浮世」という言葉には「現代風」や「当世流」といった意味が込められており、当時の人々の生活習慣や名所、歌舞伎役者、美人画などを鮮やかに描き出しました。
解説
浮世絵は当初、絵師が直接筆で描く一点ものの「肉筆画」が主流でしたが、江戸時代中期に多色刷りの版画である「錦絵」が考案されると、安価に大量生産が可能となり、庶民の娯楽として爆発的に普及しました。
浮世絵師たちはそれぞれ独自の画風を確立しました。喜多川歌麿は女性の繊細な美しさを描く美人画、東洲斎写楽は役者の表情を大胆に強調した役者絵で人気を博しました。江戸時代後期には葛飾北斎や歌川広重が登場し、日本各地の風景を情緒豊かに描く「名所絵」というジャンルを確立しました。特に広重の「東海道五十三次」は、当時の庶民が抱いていた旅への強い憧れを形にした作品として知られています。
コラム
幕末から明治にかけて、浮世絵は陶磁器の梱包材などとしてヨーロッパに渡りました。それを見たゴッホやモネなどの印象派の画家たちは、西洋絵画にはなかった影のない色彩表現や大胆な構図に強い衝撃を受け、自らの作風に取り入れました。この現象は「ジャポニスム」と呼ばれ、世界的な芸術運動に大きな足跡を残しました。