- 工場や事業所での生産活動に伴って発生し、公共の水域へ排出される水のことです。
- かつては深刻な水質汚濁や公害の原因となりましたが、現在は法律によって排出基準が厳格に定められています。
- 環境保護のため、工場内での高度な浄化処理や、水の再利用(クローズドシステム)などの取り組みが進んでいます。
解説
工場排水は、製品の製造工程で発生する洗浄水や冷却水、原料の加工に使われた水などを指します。1950年代から1960年代にかけての高度経済成長期には、有害物質を含んだ排水が未処理のまま流されたことで、水俣病やイタイイタイ病といった深刻な公害を引き起こしました。
こうした歴史的な反省から、1970年に「水質汚濁防止法」が制定されました。この法律により、一定規模以上の工場には排水の濃度や量を監視する義務が課せられています。現代の工場では、微生物に汚れを食べさせる「生物処理」や、化学薬品で有害物質を固めて取り除く「化学的処理」など、高度な技術を用いて水をきれいにしています。
コラム
近年では、排水を単に浄化するだけでなく、環境負荷をさらに減らすための工夫が行われています。例えば、排水に含まれる熱を回収して工場の暖房や給湯に再利用するエネルギー活用が進んでいます。
また、地域資源を有効活用する取り組みも注目されています。瀬戸内海などの養殖現場では、近隣の工場から出るかんきつ類の皮などを魚のエサに混ぜて育てる「フルーツ魚」の養殖が行われています。これは廃棄物の削減につながるだけでなく、魚特有の臭みを抑え、鮮度を長く保つ効果があるため、地域のブランド魚として高い評価を得ています。