- 岡山県備前市周辺を産地とする、日本を代表する伝統的な陶磁器です。
- 釉薬(うわぐすり)を一切使用せず、高温で長時間焼き締める手法が特徴です。
- 日本六古窯の一つであり、平安時代から続く歴史の中で独自の美意識を確立してきました。
解説
備前焼の最大の特徴は、装飾を削ぎ落とした素朴な力強さにあります。一般的な陶磁器のように表面をガラス質で覆う釉薬を使わず、生土をそのまま窯に入れるため、土の性質や炎の動きがダイレクトに作品に現れます。
窯の中で灰が降りかかって溶けた「胡麻(ごま)」や、藁を巻いて焼くことで赤い線が浮かび上がる「緋襷(ひだすき)」など、偶然が生み出す「窯変(ようへん)」こそが備前焼の醍醐味です。また、緻密に焼き締められているため非常に頑丈で、古くから「投げても割れない」と称賛されてきました。
コラム
備前焼の産地である岡山県を含む中国地方では、高度経済成長期に多くの人々が都市部へ移住しました。その結果、山間部を中心に人口が極端に減る「過疎(かそ)」の問題が深刻化しています。
このような社会背景の中で、備前焼のような伝統工芸をいかに次世代へ継承していくかが大きな課題となっています。現在では、伝統的な茶器や壺だけでなく、現代のライフスタイルに合わせたビアマグや食器なども作られ、新たなファンを増やしています。