ドント式とは、比例代表制選挙において各政党の得票数に基づき議席を割り当てる計算方法の一つです。各政党の総得票数を1、2、3、4…といった整数で順番に割り、その計算結果(商)の大きい順に、あらかじめ決められた定数に達するまで議席を配分する仕組みを指します。
解説
ドント式は、ベルギーの法学者ヴィクトル・ドントが考案した方式で、日本では衆議院や参議院の比例代表選挙などで採用されています。この方式の最大の特徴は、単純な割り算を繰り返すだけで、各政党の支持率をできるだけ正確に議席数に反映させられる点にあります。大政党に有利に働きやすいという側面もありますが、計算過程が明確で分かりやすいというメリットがあります。
具体的な計算例を見てみましょう。定員5名の選挙で、A党が12,000票、B党が9,000票、C党が6,000票を獲得したと仮定します。まず、各党の得票数を1で割ると「12,000、9,000、6,000」となります。次に2で割ると「6,000、4,500、3,000」、さらに3で割ると「4,000、3,000、2,000」と続きます。これらの数値を大きい順に並べると、1番目がA党(12,000)、2番目がB党(9,000)、3番目がA党(6,000)、4番目がC党(6,000)、5番目がB党(4,500)となります。その結果、議席配分はA党2、B党2、C党1となります。
同様に定員を10名に増やした場合、さらに計算を進めます。6番目はA党(4,000)、7〜9番目は数値が3,000で並ぶA党・B党・C党、10番目はA党(2,400)となります。最終的な議席数はA党5、B党3、C党2と配分されます。このように、定数が変わっても公平な優先順位に基づいて議席が決まります。
コラム
世界にはドント式の他にも、1、3、5…といった奇数で割る「サン・ラグ式」という計算方法も存在します。サン・ラグ式は、ドント式に比べて小政党にも議席が回りやすい性質を持っています。選挙制度の設計において、どの計算方式を採用するかは、その国の政治の安定性や多様性の確保に直結する重要な問題です。
また、ドント式で計算した結果、割り算の商が全く同じ数値で並び、最後の1議席を争う場合があります。このような場合は、日本の公職選挙法に基づき、くじ引きによって当選者を決定することが定められています。議席を分けるという民主主義の根幹を支える技術的な仕組みとして、ドント式は非常に重要な役割を担っています。