まとめ
【定義】
石油から精製される半固体の油状物質。植物生理学の実験においては、葉の表面に塗布することで気孔を物理的に閉塞し、その部位からの蒸散(水蒸気の放出)を遮断するために用いられる。
学習の要点
- 重要語句:蒸散、気孔、塩化コバルト紙、対照実験
- 用語の意義:部位ごとの蒸散量を定量的に算出するための密閉剤としての役割を果たす。
解説
植物がどの部位からどの程度の水蒸気を放出しているかを特定する実験において、ワセリンは不可欠な役割を果たす。葉の表・裏・茎といった特定の場所にワセリンを塗ることで、その箇所からの蒸散を強制的に停止させ、残りの部位から放出される水の量を測定することが可能になる。
代表的な実験系では、以下の4つの条件を設定した試験管を用意する。水面には油を浮かせ、水面からの直接的な蒸発を防ぐ。 A(そのまま:全ての部位から蒸散)、B(葉の表にワセリン:裏と茎から蒸散)、C(葉の裏にワセリン:表と茎から蒸散)、D(葉を全て取り、切り口にワセリン:茎のみから蒸散)。一定時間経過後の水の減少量を比較することで、各部位の蒸散量を算出できる。
算出式は因果関係に基づき、「表からの蒸散量 = A - B」、「裏からの蒸散量 = A - C」といった引き算で導き出される。多くの場合、気孔の密度が高い葉の裏側からの蒸散量が最大となる結果が得られる。
補足
蒸散の確認には、乾燥状態で青色、水分に触れると赤(桃)色に変化する塩化コバルト紙が併用される。葉をカプセルなどで挟み、塩化コバルト紙の変化速度を観察することで、ワセリンで処置していない部位から水蒸気が放出されていることを視覚的に証明できる。
参照: 学習指導要領準拠資料
小学生のみなさんへ
ワセリンは、石油から作られたベタベタした油です。理科の実験では、植物の葉っぱにぬって、水が出ていく「あな(気孔)」をふさぐために使います。
葉っぱの「表」にぬったときと「裏」にぬったときで、へる水の量をくらべることで、植物が体のどこからたくさん水を出しているのかを計算で調べることができます。
たとえば、何もぬっていない植物からへった水の量から、表側にワセリンをぬってへった水の量を引き算すると、表側から出ていた水の量がわかります。
また、水がつくと青から赤に色が変わる「塩化コバルト紙」という紙を葉っぱにはりつけて、ワセリンをぬったところからは水が出てこないことを確かめる実験にも使われます。
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